「赤道祭」の境界線の洗礼

こんにちは、タロットブログ「アントレ」へ、ようこそ。

主に欧米の船乗りに伝わる伝統に「赤道祭」というものがあるそうです。

ヨーロッパ大陸から出航して、荒海を通り、赤道を通過するまでの長距離航海は過酷さを極めました。

特に赤道の辺りの無風地帯では、船の航行が遅くなり、船乗りたちは大きな不安にみまわれました。

そのような中で「赤道祭」と名づけられた一種の通過儀礼が行われ、未熟な船員たちに、レクリエーションや儀式による意識変容を通して熟練船乗りの仲間入りをするきっかけを与えました。

伝統的な「赤道祭」では、儀礼未経験の船員は海王ネプチューンからの召還を受けます。

海王の王国に入るためのテストとして、小麦粉やバケツの水の嵐など、航海の苦難に模したものに晒されました。

それらに耐えると、ネプチューンやトリトンに安全を祈願し、その役を演じている長老的船員の承認を受けます。

そして身を清めると儀礼通過の証明書を受け取り、熟練船乗り集団の一員として生まれ変わるのです。

フランスでは、儀礼通過者はその栄誉を称して「海の騎士(Chevaliers des mers)」と呼ばれるそうです。

(「Terres d’Aventure」のHPを参照)

タロットで船と言えば、この『運命の輪』です。

水色の面上に木製らしい物体が浮かんでいます。

舵輪に見立てられるような輪っかもあり、その上の止まり木は見張り台のようにも見えます。

波に揺られている中で、搭乗者の多くは両手両足で船にしがみついて上を下への大騒ぎです。

船の天辺にひとりだけ落ち着き払っている者がいます。

立派なあごひげを蓄え、冠らしいものを被っているので、この船のキャプテンなのかも知れません。

どっしりと構えているようですが、一番動かないのは輪っかの中心の部分であり、何かあったときには天辺から落ちてしまうおそれがあります。

「赤道」とは、北半球と南半球で、いわば地球が反転する象徴的な線です。

北半球と南半球では、地軸の意識から、いわば天の方向が逆転しています。

「今の自分は、北半球で過ごしていた自分とは、向いている天の方向が逆」なのです。

「ぼくの頭があった方に、今ぼくは足を向けている。足のあった方に頭を向けるという新しい状態に対応しているぼく」

価値観の転換は「新しいバージョンの自分」を意識する転換をもたらしたでしょう。

「赤道祭」は「境界線の洗礼」という呼び方ができます。

ある「線」「境界線」を通過したことに大きな意味があるのです。

境界線の通過と共に価値観の転換が起こるのです。

それが描かれているカードに『神の家』があります。

『神の家』に入る人は世俗から神聖な世界へと境界線を通過します。

扉を通過する人は神聖な「境界線の洗礼」を受け、意識の転換に晒されます。

『神の家』に入ることになった者は、社会的なパーソナリティを超越する価値観を受け入れることになります。

(これは元型の意味においてであり、リーディングにおいては別の意味も象徴します。)

価値観の大変な変換なので、建物の前の人がひっくり返っています。

しかしその人の顔をよく見るとちょっと微笑んでいるのが見て取れます。

(この挿絵には表情が描かれていないので、フィリップ・カモワン・スクールのHPでご覧ください。)
カモワンとホドロフスキーが復元したカード

『神の家』に入る準備をしてきた人には、大変ではあっても、その転換はうれしいものなのでしょう。

探求の旅を象徴するタロットには、頭を低くした姿勢、逆さまの姿勢のカードが何枚も出てきます。

そうやって何回もの価値観の大転換を経験しながら、わたしたちは完成の境地に近づいていくのです。

◇◇◇ アントレ ◇◇◇

魂が地上にやってくる☆『愚者』の宝石

こんにちは、タロットブログ「アントレ」へ、ようこそ。

タロットの代表的なカード『愚者』は数のないカードであり、他の大アルカナが作る「宿場」であるマンダラを旅します。

この『愚者』について興味深い象徴の意味合いを見つけました。

 ☆ ☆ ☆

前に出した足の肉色のズボンのサイドに、ほころびのような象徴があります。

『愚者』は袖が裂けたように短くなっていたり、腰から出た布が出ていたりして、犬が後ろからそれにじゃれかかっているように見えます。

旅路で使い古されてみすぼらしくなった着衣をしているので、サイドの象徴も縫い目のほころびに見えます。

(この挿絵では細密に描けていませんので、フィリップ・カモワン・スクールのHPでご覧ください。)
カモワンとホドロフスキーが復元したカード

(黄色とオレンジ色で出来た象徴です。)

比較的小さめに描かれた象徴ですが、なかなか面白いもののようです。

黄色は「知性」を象徴します。

「肉色のズボン」は肉体をもって歩いている・旅をしていることを意味するでしょう。

ですから、肉体をもって生きていく人物の中の垣間見える知性と理解することもできそうです。

タロットはマークではなく、象徴を使った体系なので、それだけを意味するのはありません。

この象徴は「宝石」でもあるのではないかということです。

特に裏張りをしたオパールなのではないかと思われます。

 ☆ ☆ ☆

オパールは古い時代にはどの宝石よりも珍重され、宝石の代名詞的な石だったようです。

オパールには、光の干渉によって遊色効果というカラフルな光を生じるものがあります。

その効果があまり目立たないオパールには裏に他の石を張り合わせて、カラフルな光を引き立てる「ダブレット加工」が昔から施されていたようです。

黄色い部分がオパール本体、オレンジ色の部分が褐鉄鉱など裏張りの石と見立てられます。

オパールのダブレット(二重性)がこの象徴の背景です。

 ☆ ☆ ☆

張り合わせ加工されるオパールには目立たない状態ではありますが元々光はあります。

もっている光を表に引き出すために裏の石が必要なのです。

それと同じように、人間は魂の輝きをもっています。

その輝きは内側にあるので、それを外に表わすために人間にも「裏の石」が必要なのです。

人間にとっての「裏の石」は、同じく<地の象徴>である「肉体」です。

肉体という裏の石にくっつくことで受肉して、愚者は自分の輝きを体現することができるのです。

ついでにいうと、肉色の袋の中が黄色に輝いているのにも同様の意味を読み取ってもよさそうです。

 ☆ ☆ ☆

わたしたちは単なる肉体の存在というわけではないことがこのオパールの象徴によって分かります。

自分が望んでいれば「地上に生きることによって、自分の内なる光をはっきり見ていくことができるよ」とオパールは伝えているのではないでしょうか。

タロットの象徴はなかなか面白いものです☆

◇◇◇ アントレ ◇◇◇

天へのハネをもつわたしたち☆『神の家』

こんにちは、タロット・ワールドにようこそ。

今日のカードはこの『神の家』です。

『神の家』は石造りらしき建物に空から冠が降りてきている様子を描いたカードです。

左上には冠がありますが、右上には多様な色がひとまとまりになった鳥の尾羽のように見えるものがあります。

カラフルな玉が空間に飛び散っています。

とても興味深い光景なので、タロットを勉強し始めた人が解明したいと思うカードの1枚なのではないでしょうか。

他にも不可思議なものがいろいろありますが、今回取り上げるのは登場人物たちの胴体がまん丸だということです。

(この挿絵ではあまり丸く描けていませんので、フィリップ・カモワン・スクールのHPでご覧ください。)
カモワンとホドロフスキーが復元したカード

大アルカナのカードを見渡しても、小アルカナのカードを見渡しても、このようにまん丸な胴体で描かれている人物は他にいません。

タロットは象徴体系なので、多様な意味合いをもちます。

その中のひとつの意味合いとして、この人たちの胴体は甲虫の胴体として描かれているようなのです。

甲虫とは背中に甲羅のように堅い背板があるカブトムシやクワガタ、コガネムシなどの種類です。

背板は鞘翅(さやばね)と呼ばれているようですが、それはその硬い外側のハネがさやのように、内側の薄い飛翔用のハネを格納しているからです。

タロット・マンダラの中でもここに意味があります。

『神の家』は16という数をもっていますが、その前の15は『悪魔』のカードです。

『神の家』にたどりついた人たちの背中側には『悪魔』のカードがあることになります。

だからこそ硬い背板が守っているのだし、『神の家』に到着した人たちだからこそ、『悪魔』のカードに対する防御力をわが身に備えているとも言えるのです。

そして『神の家』の前の階段を昇り、さらに建物の中を一段ずつ上昇した後には、天なる楽園に向かって高く飛翔することになります。

そのためのハネをまん丸な胴体の鞘の中にすでに備え持っているのです。

人間には、『神の家』まで到達し、さらにその先の最終目的地まで進むプランがあると言われています。

だとしたら、『悪魔』に欲得や罪悪感などで騙されずにそこを通過するための防御力を養うことが大切です。

硬い鞘翅を身に備えた頃には、天に飛翔するためのしなやかなハネがわたしたちに生えているということになります。

タロットの智慧は興味深いですね☆

◇◇◇ アントレ ◇◇◇