『神の家』のお話

こんにちは、ソフィアです。

このカードは『神の家』(LA・MAISON・DIEV)です。

(綴りが現代フランス語とは少し違っています)

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天からの冠が下された誇らしい状況を表わしています。

祝福の花火のようなスパークが飛び散り、

びっくりした人が家から飛び出したり、道行く人が跳ね返ったり。

現代のタロットでは建物が崩れたりしていますが、

古来のマルセイユ・タロットの伝統では崩れたものではありません。

その証拠に、冠は建物より上に描かれています。

このカードによく照らし合わされるのがバベルの塔のお話です。

創作され、枝葉がついている物語ですが、元本はとてもシンプルです。

旧約聖書でバベルの塔の出て来る大筋は

「同じ言葉を話していた民たちはちりぢりになることなく同じところに留まり続けました。

そして自分たちの業績を残そうとバベルの塔を作りました。

しかし神の意図は人間や動植物が世界中で増え栄えることでした。

それで神は単一だった言葉を乱しました。

人々は塔の建設をやめ、同じ言葉の者同士で各地に散らばっていきました」

となっています。

一つの言葉をしゃべっていた人々が、言葉が分裂したために分散していったというお話です。

建物が崩された記述はありません。

お話の中の人々のように、

このカードの中の人も建物から出ようとしています。

タロット・リーディングの際、

質問によっては、このカードが正立だったり、解決として出たとき、

「家(あるいは組織・建物)を出ることは問題ない」「家を出ることが解決」と読むことがあります。

もし、何かの決断をして、旅立とうというとき、再スタートしようというとき、

このカードが未来に凛と立っていたら・・・

それはとても喜ばしい門出なのかもしれません。

例の塔のように神意を受けての出立なのかも知れないからです。

タロットカードにはさまざまな叡智が描かれています(^-^)

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神話の滋養をタロットに与える☆星のように

星のカードには2本の樹がありますが、

実がなっている樹の幹のところをよく見ると、

蛇が描かれているのが分かります。

うつくしい場所の樹に蛇がいる情景を考えると

すぐに知恵の樹とエデンの園を思い出しますが、

他にも樹の生えた有名な庭園があります。

:『星』

ヘスペリデスの園です。

ギリシャ神話に出て来る有名な英雄ヘラクレスには

ミュケナイ王から課された12の功業の中で

「ヘスペリデスの黄金の林檎」を入手する必要がありました。

その林檎の樹はゼウスの妻であるヘラーの所有物で、

竜とも蛇ともいわれるラドンによって守られ、

アトラスの娘たちであるヘスペリデスによって世話されています。

そこでヘラクレスはアトラスのところに出向きました。

アトラスはゼウスに命じられて、長年、天空を担ぎ続けていました。

事の次第を伝えるとアトラスは林檎を取ってくることを

快く引き受けてくれました。

アトラスが取りに行く間は、天空を担ぐという仕事は

ヘラクレスが代わります。

戻って来るには戻って来たアトラスですが、

重い天空をまた担ぐことをしぶり、

自分がミュケナイに林檎を届けると言い出しました。

そこでヘラクレスは一計を案じ、

「自分は力持ちだけれど、さすがに天空は重いので、

長く担ぎ続けるにはコツが必要だから

上手い担ぎ方を教えて見せてくれ」と頼み、

アトラスが担いだすきに林檎を持ち去ったというお話です。

星のカードはこの神話の挿絵にさえできそうなくらいで、

2本の樹や蛇、水を注いでいる女性などが描かれています。

水を注ぐ様子から、

これを庭師が樹木に水や養分を与えて世話するように

何かを育てている様子とリーディングすることも出来ます。

ヘスペリデスという名前も「黄昏の娘たち」という意味で、

星が出始めた夕方にぴったりです。

タロットも神話も元型の宝庫ですから、

こうして神話をひもとくことは

象徴のイメージをさらに喚起することができます。

神話を読むことはリーディングを「育てる」ことになるかも知れませんね(^-^)

(象徴の詳細はカモワン版マルセイユ・カードをご覧ください)

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