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2020-04-30

「多面的な」目、「ひと目見る」目

こんにちは、アントレにようこそ。

タロット・カードをじっくり見ていると、シンボルが気になることがあります。

「この線はどうしてはみ出ているんだろう」とか「この形は妙だな」とか。

今回は『神の家』で気になったことです。

少々見にくいかも知れないんですが、描かれている二人の目の様子が随分と違うのです。

左側の人はかわいらしい大きな目をしています。

右側の人の目はやや小さくて、通常は白目であるはずの部分が肉色で描かれています。

(挿絵では詳細に描いていませんので、カードをお持ちじゃない方はリンクで確かめてください。)

カモワン・タロットスクール公式サイトのタロット画像

似たようなシンボルに異なる描き方をされている部分があれば、そこには二元性が表現されています。

そこで「目」に関するフランス語を調べていくと、<ア・ウィユ・ニュ>という言葉があります。

<ア>は前置詞、<ウィユ>は目、<ニュ>は裸という意味で、<ア・ウィユ・ニュ>は「①肉眼で②ひと目で」という意味になります。

肉色の目なので「肉眼で」に繋がるのは分かるのですが、それよりも「ひと目で分かる」のような意味に繋がるところがポイントのようです。

もう一方の大きな目について、前者と二元性をもつことになりそうな表現をフランス語の中に見つけていくと――

昆虫などの「複眼」を意味する<ウィユ・ア・ファセット>という言葉が見つかりました。

<ファセット>は、「切り子の面」や「多面体の面」を表わす言葉で、<フェイス>に縮小辞の<-エット>がついたものです。

<ア・ファセット>だけなら「多面からなる、多面的な」という意味になるようです。

左側の人の頬の線は3重に描かれています。

この3本の線は、陰影の表現とは異なっています。

<フェイス>の線を数多く描くことで<ファセット>(=多面的な様子)を表現していると推測できます。

こういうことから、左側の人の「大きな目」は、この人の「多面的な見方」「観る力の大きさ」を表現しているのかも知れません。

右側の人の「ひと目で」は「ひとめぼれ」や「見た目レベルの観察力」を表現しているのかも知れません。

目の表現の違いの中に二元性が成り立っているようです。

<ウィユ・ア・ファセット>は元来、「複眼」という意味で、「複眼」は昆虫などが有する眼の構造です。

以前、『神の家』の左側の人について、背中の空色の部分を昆虫の背板と解釈でき、その中に羽根が内蔵されているのではという記事を書きました。

昆虫関連のキーワードが再び出てきたことになります。

何か意味ありげですね。

天上界のカードには人間以外の生き物が結構描かれています。

天上界を目指す人間にとって、人間以外の生き物の在り方というのは参考になるものなのかも知れません。

シンボルをあれこれ調べてまわるタロット探索の旅は面白いものです☆

ソフィア

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