『力』の乙女とライオンが葛藤を通り抜けること
こんにちは、タロットの世界へ、ようこそ。
このアントレのサイトが開いて、今回が最初のブログ更新です。
そうすると、1という数の付いている1の『手品師』で初めてもいいところですが、それまでのサイトをお終いにしての新しい始まりということで――
今回は一段階上の1の付くカードである11の『力(ちから)』でいきましょう。
フランス名は『LA・FORCE』となっています。
フランス語の<LA FORCE>は、力・パワーそのものを表わす言葉であり、また「勇気」を表わす言葉でもあります。
このカードにはライオンと乙女が描かれています。
乙女はしなやかな手を持ち、柔らかな物腰で、猛獣をコントロールしています。
よほど胆が据わっているのか、涼しげな顔でものごとに対処しています。
ライオンの方は牙をむいていますが、口あんぐりになっていて、乙女の手に逆らえません。
これはとてもミラクルなことです。
この場面には2つの力のぶつかり合いがあります。
リーディングの中でもそういう形で現れます。
展開すると、自分と他人の葛藤だったり、自分の中のぶつかり合う心の葛藤がこのカードで現われることがあります。
そのぶつかり合いは、いい感じのものであったり、苦しみを伴うものの場合もあります。
どちらであっても、そこにはある種の摩擦が生じています。
ぶつかり合いや摩擦の様子を物理的な現象で想像してみましょう。
火打金具を火打石と打ち擦ると、そこに火花が出現します。
火=光=明るさが出現します。
光にはものを照らし出す作用があります。
心の領域でも、葛藤で生じた摩擦によって、心的な照明効果が作り出されます。
自分の心の中に潜んでいた「何かがある」と分かるようになるのです。
闘争心の溢れている反応だったり、苦痛に感じる反応だったり。
葛藤で生じた火花は一瞬、自分の心のシルエットを照らし出すのです。
牙をむいているライオンは何を思っているでしょうか。
「格闘が面白い!」とか「ここまでは大丈夫だけど、ここから先は微妙」とか「もう無理かも」とか。
強そうなライオンですが、どの台詞もあり得えます。
葛藤と出会うまでのまでのライオンは、自分の強い面だけしか知らずに、百獣の王だと思い込んでいたのです。
わたしたちもまだ十分には知らない自分の側面をもっています。
摩擦の火花は、葛藤に出会ったときの自分を照らし出し、気づきへと繋がる情報をくれます。
『力』のカードは葛藤を通って自分を知り、自分に磨きをかけていく段階です。
自分の制限や思い込みを知っていくと、無理に突っ走ろうとする自分の中のライオンをやさしく制してマネージメントできるようになります。
自分を知り、自分の中をやさしく制御すること――
これが『力』の乙女のミラクルな強さの秘訣なのです。