魂が地上にやってくる☆『愚者』の宝石
こんにちは、タロットブログ「アントレ」へ、ようこそ。
タロットの代表的なカード『愚者』は数のないカードであり、他の大アルカナが作る「宿場」であるマンダラを旅します。
この『愚者』について興味深い象徴の意味合いを見つけました。
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前に出した足の肉色のズボンのサイドに、ほころびのような象徴があります。
『愚者』は袖が裂けたように短くなっていたり、腰から出た布が出ていたりして、犬が後ろからそれにじゃれかかっているように見えます。
旅路で使い古されてみすぼらしくなった着衣をしているので、サイドの象徴も縫い目のほころびに見えます。
(この挿絵では細密に描けていませんので、フィリップ・カモワン・スクールのHPでご覧ください。)
カモワンとホドロフスキーが復元したカード
(黄色とオレンジ色で出来た象徴です。)
比較的小さめに描かれた象徴ですが、なかなか面白いもののようです。
黄色は「知性」を象徴します。
「肉色のズボン」は肉体をもって歩いている・旅をしていることを意味するでしょう。
ですから、肉体をもって生きていく人物の中の垣間見える知性と理解することもできそうです。
タロットはマークではなく、象徴を使った体系なので、それだけを意味するのはありません。
この象徴は「宝石」でもあるのではないかということです。
特に裏張りをしたオパールなのではないかと思われます。
☆ ☆ ☆
オパールは古い時代にはどの宝石よりも珍重され、宝石の代名詞的な石だったようです。
オパールには、光の干渉によって遊色効果というカラフルな光を生じるものがあります。
その効果があまり目立たないオパールには裏に他の石を張り合わせて、カラフルな光を引き立てる「ダブレット加工」が昔から施されていたようです。
黄色い部分がオパール本体、オレンジ色の部分が褐鉄鉱など裏張りの石と見立てられます。
オパールのダブレット(二重性)がこの象徴の背景です。
☆ ☆ ☆
張り合わせ加工されるオパールには目立たない状態ではありますが元々光はあります。
もっている光を表に引き出すために裏の石が必要なのです。
それと同じように、人間は魂の輝きをもっています。
その輝きは内側にあるので、それを外に表わすために人間にも「裏の石」が必要なのです。
人間にとっての「裏の石」は、同じく<地の象徴>である「肉体」です。
肉体という裏の石にくっつくことで受肉して、愚者は自分の輝きを体現することができるのです。
ついでにいうと、肉色の袋の中が黄色に輝いているのにも同様の意味を読み取ってもよさそうです。
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わたしたちは単なる肉体の存在というわけではないことがこのオパールの象徴によって分かります。
自分が望んでいれば「地上に生きることによって、自分の内なる光をはっきり見ていくことができるよ」とオパールは伝えているのではないでしょうか。
タロットの象徴はなかなか面白いものです☆
◇◇◇ アントレ ◇◇◇