世界の輪とそれぞれの意図(その2)
こんにちは。タロットの世界へようこそ。
前回のブログ「世界の輪とそれぞれの意図(その1)」の続きです。
前回は『手品師』の単独の意図の様子を見て、では複数人数は・・・というところまででした。
大アルカナに、複数人数のカードはいろいろあります。
顔を合わせて、はっきりとコミュニケーションをとっているように描かれている『恋人』で見てみましょう。
カードの下の方では、3人の人が知識・知恵を持ち寄り、意見を出して話し合いをしています。
ある程度まで「内包するもの<intension>」「意図<intention>」を意見交換で出し合っています。
『手品師』では外に見えないように描かれていたテーブルのような衝立がここにはありません。
外に表明されているということです。
上の方では、天使もその意思決定にアイデアなどの知恵を「直感を与える矢」を射て参加しています。
「内包するもの<intension>」前の<in>を取っると、「引っ張り・緊張」や「張力・応力・圧力」を意味するテンション<tension>になります。
天使は引っ張った弦に内に内包していたものを込めて伝えているようです。
天使は矢で意図を飛ばしていますが、人間同士も思いや言葉などの「意図」を飛ばしあいます。
「知恵」の「知」という字が「矢」と「口」という字を組み合わせて作られているのは、漢字に込められた叡智がタロットの象徴に通じることを示しています。
『手品師』ではカードの中央に基点のなるポイントを見ました。
『恋人』では天使のもつ弓矢を見てみましょう。
ざっくり図形を捉えると、矢羽を引く指・弓の両端・矢の先端と力のポイントは4箇所あります。
それを繋げるとひし形のような形になります。
『手品師』では点としての現われだったものが、『恋人』では多角形になっているということです。
さらに、それらと比べたいのが『世界』のカードの大きな輪っかです。
この大きな円は黄道12宮がモチーフになっています。
輪っかの周りには4つの聖なる存在が描かれていますが、黄道12宮としては実際は12の存在がいます。
中央の存在と12の存在がいて、中央の存在を中心に全存在がそれぞれの「意図」をもって輪に引っ張る力をはたらきかけています。
だからこそ、この図形は滑らかな輪の形を保っているのです。
そうでなければ図形はどこか欠けたものなってしまいます。
内包のインテンション<intension>に対して、外包であるエクステンション<extension>は「拡大・拡張・延長・外延」というような意味合いになります。
本人自身が意図を表明して、その存在の意図が外部に広がり、その他の存在がそれぞれ自身の意図をもって、そこにはたらきかけあっている様子が『世界』には描かれています。
『世界』が大きなきれいな輪であるためにそれが大切なのです。
遠慮して自分の思いを表明しなかったり、自分の願いを後回しにしすぎる人には、この『世界』のカードのメッセージが必要かも知れません。
自分が意図を表明し、願いを実現しようと前向きになることは、誰かに損をさせたりすることではありませんし、わがままと揶揄されることでもありません。
すべての人が自分の意図をもって世界に一定の力をかけることは、助け合いを作り出すなどして、世界がすばらしい場所であるために必要なことなのです。
自分にやさしい気持ちをもち、自分らしく生きることを自分に許可することは、他の人がその人らしく生きることを素直に応援できることに繋がります。
それは世界にやさしさの好循環を作ります。
自分にやさしくし、自分の意図を尊重することは、自分のためになり、世界のためになることなのです。