光と闇、愛と欲望とのスタンス
寒さやインフルエンザに晒されて、1月はなかなかの一ヶ月でした。
神話系の本で、『ファウスト』について読みました。
『ファウスト』はゲーテ独自の創作かと思っていたのですが、ベースとなる逸話が中世からあったそうです。
ファウスト博士は真実を探求している人物ですが、既成の神学や宗教などに学んでも納得のいくものが得られず、人生の機微を全て知るために悪魔と取引をします。
取引の内容は、悪魔がこの世でファウストに仕え、ファウストがあの世で悪魔に仕えるというものでした。
この世というのはこの人生の時間なので、長くても100年程度ですが、しかしあの世で仕えるとなると永劫となってしまうというのがファウストには分かっていない取引の盲点でした。
ファウストは様々な野望を達成し、欲望を満たし、悪魔の手助けで進んでいきます。
その中で、一人の女性を手に入れ、妊娠させ、捨ててしまいます。
女性は出産しましたが、追い詰められ赤ん坊を殺してしまい、死罪になってしまいます。
ファウストは自分勝手に生きてきましたが、この女性を破滅させたことに初めて良心の呵責を覚えるようになりました。
その後の人生でその呵責を心にもち続け、亡き女性を愛するようになっていきました。
人生の最後のときになって、悪魔はファウストが自分の手に落ちるのを今か今かと墓穴を掘りながら待っています。
しかしファウストの心に宿る亡き女性への愛に、天上から彼女が応えた祈りによって、ファウストの魂は悪魔の手からのがれ、救われたのでした。
この物語には「悪しきもの」とのスタンスについて考えさせられます。
一般的に、悪には近寄らず、人によっては「目の毒」と視界にさえ入れないような向きさえあります。
しかし人間界では、光があるところには闇があるもので、闇がないところでは光は認識されないとさえいいます。
反りが合わない人がいなければ、気が会う相手も分からないし、苦悩するときがなければ、喜びを喜びと認識することもできないでしょう。
このカードは『悪魔』です。
コウモリのような翼をもち、松明を掲げて誘惑していますね。
悪魔の体は空色と肉色という正反対の2色の部分からなっています。
天の性質と地の性質をもつということです。
悪魔として有名な存在というとルシファーが思い浮かびますが、ルシファーはもともとルシファエルという天使だったのですが、堕天使になり、ルシファーになりました。
このことも、悪魔が天と地のふたつの性質があることと一致しています。
ファウストも欲望達成を追求する利己的な生き方から、彼女の破滅を悔やみ、心から愛する生き方までという両極端な人生を経験することになりました。
強烈な呵責となる経験が深い愛の下敷きとなり、天の光に結びついたといえるかも知れません。
普通、ここまで激しいのはそうそう求めないでしょうけどね。
今日、お坊さんが語る教育番組をめずらしく見ていたら「悪いウィルスは悪いことを教えてくれている」と言われていました。
自分の健康をケアするためにはうがい手洗いをして、清浄に保つことが大切です。
「自分のケアを怠ってはいけませんよ」とインフルエンザ・ウィルスが教えてくれているのかも知れません。
これもあまり求めたくない経験です☆