聖クリストファーのお話からの続編
こんにちは。
先日、聖クリストファーについて書いたのですが、
この名前を名乗るように言われる前の名前は
「ゴルム」ということになっていました。
あまり聞いたことのない感じの名前だなと
思っていたのですが、
由来するのではないかと思うものがありました。
ユダヤ教の言い伝えに出てくる「ゴーレム」。
これは土で作られた人形で、
ラビが儀式や呪術によって生かし、
意志をもたせられることになっているものです。
製造後「自然に巨大化する性質がある」となっています。
聖クリストファーの「ゴルム」も巨人だったと
されているんです。
西洋文化圏で、土で作られた人の形のものと言って
思いつくのが「アダム」だと思います。
アダムは創造主によって赤土(アダーマ)から創られ、
神の息吹によって生命を与えられたとなっています。
わたしたち人類の肉体はその全てがこの地球から
もらった物質でできています。
人間の体は「地=土」によって作られていると
象徴的には言えます。
わたしたちの体はゴーレム(土人形)だと
喩えることができそうです。
「自然に巨大化する性質がある」というのは
どういうことかなと思いを巡らせてみました。
創造のはじまりのとき、アダムたちは
創造主と直接対話ができたことになっています。
(わたしの知識は小説の「旧約聖書物語」からなので
ユダヤ教の知識として厳密と言えないんですが(^v^ゞ)
きっと創造主を前にすれば誰だって
主の偉大さの前に頭を垂れ、自分の小ささを知るでしょう。
しかし祖たちの時代を遥か遠くにして
人類は創造主の存在を忘れ、
人類が何より進化した存在だと思うに到っています。
これが「自然に巨大化」した人間のエゴなのかも知れません。
ゴーレム(土人形)についての記述では
生かし始めるときに土人形の額に
「真理(emeth)」と書いた紙を貼るようなのですが、
壊すときには最初の「e」を消すことで
「死んだ(meth)」にすること破壊できることになっています。
タロットにも似た状況を表すカードがあります。
「名前のない13」と言われるこのカードです。
一見、怖く見えるこのカードですが、
実は過剰になりすぎたパーソナリティを壊し、
新たな状態に再生する様子を象徴します。
さて、最初の聖クリストファーについてですが、
新たな何かと出会う旅の途上で、
ゴルムは自分についても新たな変遷をしたはずです。
街を壊すまでに自我が「自然に巨大化」した
土人形ゴーレムである「ゴルム」は
川辺でキリストに出会い、キリストを担いました。
息子・臣下・デストロイヤーの部分がすでになくなり、
「クリストファー」に生まれ変わったのですから。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
いい落ちがついたと思うのですが、
ついついヘンなことを想像してしまいました。
ゴルムにおんぶされた少年の姿のキリストが
後ろから額に手を伸ばして「e 」をゴシゴシ消した様子を。
『e を消したことで「(エゴ)ego」も消えたのかな』なんてね(^v^ゞ