運命が動くとき
マルセイユタロットにはしばしば船にまつわる象徴が描かれています。
「運命の輪」というカードはその代表で、船の舵輪が描かれていて分かりやすいと思いますが、
そのほかにも「恋人」のカードにも船乗りには分かる象徴が描かれています。
船の舵の構造の一部に弓型のリラまたはコードラントと呼ばれる部品があるのですが、
「恋人」のカードの天使がもつ「弓」がそのコードラントだと見ることができます。
コードラント<quadrant>とは、舵を有効に動かすため必要なトルクを舵頭材に与える装置のことで、弓型をしています。
この弓型のコードラントと舵輪がワイヤーケーブルでつながっていて、舵輪とコードラントが同時に動くわけです。
(下図参照)
さて、あらためてカードを見てみます。
よく見ると「恋人」の天使の弓の弦は弓の端で止まらず後に続いています。
タロットマンダラで見るとその弦の先は「運命の輪」のほうに繋がっているように見えます。
ということは、天使の弓は「運命の輪」の舵輪の動きで動くということが分かります。
それは言い換えると
・運命がその選択をさせる
あるいは
・その人にとって心の響く選択をしたときに運命は動く
という意味と捉える事が出来ます。
あなたのその時の選択は、運命から来るものでしょうか。
それともあなた自身の選択で運命を動かすのでしょうか。
フランスのマルセイユはフェニキア人が建設した都市と言われ、今も地中海における代表的な港町で、
街から見える港一帯に数多くの船舶が停泊していて、特徴的な景観が望めます。
フェニキア人は紀元前1000年前ごろに地中海を中心に活発に海上貿易を行い、海上文明を築いた古代人です。地中海沿岸の都市を拠点として地中海貿易を拡大していきました。
このマルセイユ地方で作られていたマルセイユタロットにはしばしば船にまつわる象徴が描かれています。
それは人々の文化に船に関することが影響していて、船のことで物事を例えるのが分かりやすいことがあったのかもしれません。