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2024-11-29

獅子を制御するパワフルな『力』の乙女☆星の神話とタロット

こんにちは。アントレへ、ようこそ。

今回は、黄道十二宮の神話をタロットの象徴を通して見ていくシリーズの獅子座の回です。

前回のブログにギリシア神話のヘラクレスと格闘した「ネメアーのライオン」のお話を載せています。

読まれていない方は、まずそちらからご覧ください。

『ヘラクレスvsネメアーのライオン☆12星座の神話』

ネメアーのライオンのお話をタロットの象徴でさらっていきましょう。

☆ ☆ ☆

ライオンは『力』と『世界』に

まずは、12功業においての「ネメアーのライオン」という題名に基づき、

マルセイユ・タロットの大アルカナ22枚を見渡すと、ライオンらしき象徴がまず『力』と『世界』に見当たります。

『世界』の落ち着いた様子のライオンはゼウスによって天に上げられた後のライオンの姿です。

『力』のカードを見ると、ヘラクレスの怪力に遜色ないパワフルな乙女と荒々しそうなライオンが描かれています。

何といっても、このカードの名称は『力』<LA FORCEラ・フォルス>です。

乙女は、ライオンを腕で制御するという常人では考えられない行動をしています。

『世界』のライオンがみんなと調和して輪になっているのに対して、『力』のライオンは歯をむき出しにしています。

ネメアーのライオンのように獰猛そうですが、乙女に抵抗しつつも制御されているようです。

パワフルな棍棒による攻撃

弓矢では手ごたえを得ることができませんでしたが、ヘラクレスは得意の棍棒でネメアーのライオンを退治するきっかけをつかみました。

棍棒は『杖(火)』の象徴です。

ヘラクレスの棍棒はオリーブの木で出来ていると言われていますが、前回の牡牛座のイーオーがつながれていたのもオリーブの木でした。

オリーブは採油植物であり、オリーブオイルで火を灯すことができます。

ここでは「光」を得ることを示唆する象徴です。

光を得る(明晰さ・賢明さ)棍棒で、ヘラクレスはネメアーのライオンの頭を一撃します。

『力』のライオンの胴の下を見ると、棍棒のような黄色い象徴が紛れているように見えます。

ライオンはすでに棍棒で光の攻撃を受けた後なのかも知れません。

ヘラクレスの一撃にたまりかねたネメアーのライオンは洞窟の中に逃げ込みましたが、それは「光」に対する「暗がり」、「明晰さ」に対する「頑迷さ」なのかも知れません。

ライオンを追って洞窟の中に入ったヘラクレスも「暗がり」で、自分の中の「恐れ」や「頑迷さ」に向き合うことになったでしょう。

皮に切れ込みを入れるパワフルな爪

ヘラクレスは、強靭なライオンの皮にナイフで切れ込みを入れることができず、はぐことがませんでした。

通常、狩人たちはナイフで獲物をさばきます。

ナイフの刃でも、矢の鏃でも貫通できないネメアーのライオンの強靭な皮は、『剣(風)』が象徴する知性というアプローチだけでは太刀打ちできない問題を象徴します。

まるで理路整然と説明しても分かってくれない頑固な人物を相手にしているようです。

その困難な局面を女神アテナのアドバイスを受け入れることによって、ライオンの爪を使い、切れ込みを入れてはぐことができました。

アテナは知恵と戦略を司る戦いの女神なので、『剣』の徳性も『杖』の徳性も授けることができます。

理論と衝撃を一度に与えられます。

鋭さがありつつ強さがある爪は『剣』と『杖』の両方の性質を兼ね備えているように見受けられます。

『力』のライオンの体を見てみると、上半分と下半分で色が異なります。

もしかすると、切れ込みが入れられ、皮がはがれているのかも知れません。

パワフルな乙女はインパクトのある赤い爪をライオンに指し向けています。

アテナの助力を得たヘラクレスは、『剣』の象徴する「知力・理性」と『杖』の象徴する「勇気・度胸」を発揮して、暗がりの恐ろしい猛獣に対処することができました。

それによってヘラクレス自身が一皮がむけたと言えそうです。

やっぱり強い『力』

フランス語の<forceフォルス>は体の力だけでなく、勇気や精神力など、心の力も意味します。

<LA FORCEラ・フォルス>という名称は『力』の乙女が勇気や精神力をも司る女神であることを示しています。

降ってきたライオン

カモワンの「3×7タロット・マンダラ」を見ると、面白いことに気づかされます。

カードをお持ちの方はマンダラを並べてじっくり眺めてみてください。

気づくことがあるかも知れません。

(マンダラは下記リンクからご覧になれます。)

カモワンの「3×7タロット・マンダラ」

ネメアーのライオンの母親は月の女神セレネであるという説がありますが、「3×7タロット・マンダラ」を見ると、『力』の上には『月』のカードがあります。

「月が身震いをしたときにネメアーのライオンが降ってきた」というエピソードにぴったりの位置関係です。

『月』には天体のすぐ下に2頭の4つ足の動物がいます。

月の女神セレネが「母親」であるという前提で、その下にいるのがネメアーのライオンだと解釈しても、「子ども」なのでまだたてがみが生えていないようです。

(ヘラクレスはネメアーのライオン退治の前に、キタイロンのライオンを退治しています。それを物語るように獅子座の上には小獅子座があります。)

モロルコスの羊についてですが、羊の象徴はいずれ牡羊座について調べるときのための楽しみにしましょう。

ヘラクレスは牡羊座の神話のアルゴー船の乗組員の一人でもあります。

神話とタロットとの繋がり、本当に興味深いですね(^-^)

ソフィア

※ライオンの詳しい象徴や『剣』『杖』などの四大元素は、カモワン・タロットの初級「手品師コース」で扱われています。

カモワン・タロットのリーディングを学びたい方はスクール・ページへどうぞ。

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