映画『ソウル・オブ・ワイン』

こんにちは。アントレへ、ようこそ(^-^)

タロットはさまざまな象徴がてんこ盛りになったカードです。

それらを調べてみると、樹の幹から枝葉が広がるように、世界各地の文化的要素に繋がります。

例えば、『節制』や『星』にはアンフォラのような瓶をもった人が描かれています。

一般的に『節制』には、健康や倹約のためにワインを水で希釈する様子が描かれているといわれています。

他の解釈では、ブドウジュースが腐るのを防ぐために前年のワインを混ぜている様子と見ることもあります。

タロットは象徴で成り立っているので、解釈には多様性があります。

『星』の女性が液体を水面に注いでいるのは、この人が変わった人だからといわれています。

大量の水のあるところに、水瓶から水を注いでいる様子だからです。

別の観点では、ブドウの収獲を感謝してワインを神々に捧げるお祭りの様子だともいわれています。

人間が過度な飲酒で酩酊するよりも、供物として川や大地に捧げることを神々は好むとされています。

水瓶など、タロットのシンボル1つ1つを見ると、何でだろうと知りたくなることがたくさん出てきます。

こういうときに、ワインなどについても、もっと知識があるといいのにと思うのです。

最近見たドキュメンタリー映画『ソウル・オブ・ワイン』には「そういうことか」と思わず膝をたたきたくなるところがありました。

特に醸造学者のジャック・ピュイゼさんの話。

予告編にはほんの少しだけ映っていますが、タロットのヒントになる知恵がいっぱいでしたので、特に興味深い言葉を文字に起こしておきます。

 

ピュイゼさんは、まず、熟成したワインの入ったグラスを手に取って話し始めます。

「瓶の中で熟成すると
こういうミネラル化が起こるんだ
最初の香りですぐにわかる
目の前のこのワインは“知恵”へ向かっているのだと」

「伝統的にも同じような言い方をするが
ワインは時間に身を委ねる
ワインが開花するまでには長い時間がかかるんだ
ワインを飲むこととは 土や空気
成分と時間を飲むことだ」

「ワインが話をしてくれる
“私を導いてくれた主人 ワインの生産者は”
“とてもよい主人で”
“正しく世話をし”
“正しく収穫した”
“ブドウだった私を発酵させ ワインに変えた”
“ブドウのままでは保存できないから”
“私を発酵させ ゆっくりワインに変えた”
“熟成し 澱を引き 瓶に詰めた”
“熟成させるために”
そんな話をするんだ」

ブドウがワインになる過程で生じるスピリッツがタロットの象徴性の中で注目すべきポイントです。

また、ピュイゼさんは、若いワインと熟成したワインを若さと智慧、若者と大人に例えての話もします。

まるで『愚者』と『隠者』の会話のようだと思って、わたしは聞いていました。

ブドウジュース、若いワイン、熟成したワイン。

ワインは人間にとって大切なことを伝えてくれるシンボルです。

興味がある方はぜひ『ソウル・オブ・ワイン』の本編を見てみてください(^-^)

ソフィア

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フランス映画で見る「職人」の世界☆ヨーロッパの背景

こんにちは。アントレへ、ようこそ。

日本全国、続々と梅雨入りしているようですね。

わたしソフィアはすがすがしい緑の自然の中が好きなのでちょっと残念です。

野外での楽しみは当分お預けです。

代わりに屋内での楽しみがいろいろありますね。

わたしが屋内で楽しむものとしてはタロットがありますが、ソーイングと刺繍もほんの少し嗜みます。

マルセイユ・タロットを勉強し始めると、徒弟制度や親方制度と呼ばれる制度について聞くことがあります。

中世ヨーロッパのギルドにおいて採用されていた職人教育や指導者認定のための職業訓練制度です。

徒弟制度では、基本的に徒弟は親方の下に住み込み、一定期間指導を受けた後に一人前の職人になります。

職人としてさらに熟達すると、親方組合に作品を提出して審査されるなどの試練を経て、認められれば親方の仲間入りとなります。

親方は技能だけではなく、指導者としての人間性も求められたそうです。

タロットの中で、人間の成長を職人の成長に喩えているので、職人の世界について知ることでカードの理解の助けになります。

その手掛かりとして、職人の世界をフランス映画で覗いてみるのはどうでしょうか。

さまざまな職人の世界がありますが、自分の好みの方向性から、わたしがご紹介できる映画はソーイングと刺繍のものです(^~^ゞ

まずは、2004年のフランス映画『クレールの刺繍』です。

刺繍が好きな17歳のクレールと刺繍職人のメリキアン夫人が、不本意な妊娠と息子の事故死というアクシデントをきっかけにして共に働くようになり、ぶつかり合いながらも、かけがえのない関係性を紡いでいく様子を描いています。

メリキアン夫人は以前、有名なルサージュ氏の刺繍工房で働いていて、ルサージュ氏が親方、メリキアン夫人はそこから独立した職人です。

クレールは初めて刺繍を仕事にするので、いわば徒弟としてメリキアン夫人の下ではたらきます。

お互いの心が通い合うようになったとき、クレールは自分が創作した刺繡入りショールをメリキアン夫人に進呈します。

それはクレールの刺繍の能力とメリキアン夫人に対する敬意を同時に表わすものでした。

『クレールの刺繍』は全編が映像も美しく詩情あふれたもので、とてもお勧めです。

食事、パジャマ、性、生と死などの要素が変化しながら繰り返されていて、作りが詩や音楽を思わせます。

美しい刺繍も出て来ますし、使われている音楽も秀逸です。

『クレールの刺繍』に出会うことができたらぜひ見てみてください。

2021年のフランス映画『オートクチュール』はディオールの工房を舞台としています。

工房の責任者エステルは職人としての衰えを感じ、引退を考え始めていました。

やることが見つからず、エネルギーを持て余している移民の少女ジャドは、友だちと共にひったくりをはたらいていてエステルに出会います。

エステルは、ジャドが裁縫や刺繍の才能に恵まれた手をしていることを見抜き、見習いとして工房に導き入れます。

はねっかえりのジャドはお針子たちの中で対立や調和を体験しながらも、少しずつオートクチュールの世界のすばらしさを知っていきます。

工房に親方らしき人物が現れたときの職人たちの背筋が伸びる様子はその世界での親方への敬意や畏怖を感じさせます。

『クレールの刺繍』では職人と徒弟の2人の小さな工房ですが、『オートクチュール』では大きな工房でのお針子たちの様子が描かれています。

両作品とも職人を演じるのがアリアンヌ・アスカリッド、ナタリー・バイと名女優さんで見ごたえがあります。

悩み多き徒弟を演じるローラ・ネマルク、リナ・クードリが二人とも芯がある感じで、名女優との共演がとてもすばらしいです。

映画を見るのに静かな雨の日はぴったりですね。

わたしたちはこれからまだまだ成長を遂げていきます。

自分を楽しく導くものを心のコンパスに聞きながらぜひ取り入れていきましょう(^-^)

ソフィア

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映画『グランド・ジャーニー』で知る☆タロットのふるさと南仏

こんにちは。アントレへ、ようこそ(^-^)

フランス映画は好きですか?

わたしソフィアはフランス映画が好きです。

難しめな映画から入ったことで、以前はフランス映画に少しばかり窮屈な印象をもっていたのですが、

マルセイユ・タロットを使うようになってからはよく見るようになり、今ではフランス映画が大好きです。

多くのフランス映画は「自分の人生を愛していい」というメッセージを伝えてくれているという印象です。

マルセイユ・タロットは南仏生まれですが、以前のわたしの南仏のイメージはほとんどプロヴァンスのラベンダーの花畑のみでした。

大アルカナの代表的なカード『愚者』を見てみると、野原を歩いていますが、足元には水色の塊があります。

湿地が含まれた野原の広がる南フランスの風景です。

フランス最大の湿地があるカマルグは白馬の名産地です。

カマルグの湿地には野生のフラミンゴも生息しています。

そういう自然豊かなカマルグを舞台にして撮られたのがフランス・ノルウェー合作映画『グランド・ジャーニー』です。

雁に安全な渡りのルートを教えるため、ノルウェーからフランスまで超軽量飛行機で飛行したクリスチャン・ムレクとその家族の活動を元に作られています。

上空で飛ぶ雁の様子を間近で撮影したのはクリスチャンたちが初めてだそうです。

雁の飛ぶ姿がなんとも愛らしい💖

クリスチャン役を演じたのは『セラヴィ!』などでのユーモラスな演技がすばらしいジャン=ポール・ルーヴです。

映画では、

鳥類研究家である父親クリスチャンと、夏休みの間、一緒に暮らすことになってしまった現代っ子のトマが、雁を守ろうとするまでに成長する姿が感動的です。

やさしくて芯のある母親パオラの存在も魅力的です。

心地のいい涙で目を潤ませてしまうこと必至の映画です。

マルセイユ・タロットには空色の馬や白馬がよく出て来ますし、湿地も描かれています。

少し風変わりなクリスチャンは『愚者』の人物像とも重なります。

マルセイユ・タロットを産んだ土壌を知るために『グランド・ジャーニー』はお勧めです。

タロット好きの人と限らず、お勧めと言える映画の1本です(^-^)

ソフィア