騎士のように凛々しく☆『戦車』

こんにちは、タロットの世界へようこそ。

コロナ関連問題、さらに梅雨入りする地域も広まってきて、不安な気持ち、浮かない気持ちになりがちな今日の状況ですが、

今回は、そんな中を乗りきるための心がけを『戦車』の騎士からもらいましょう。

これが『戦車』(の挿絵)。カードをお持ちの方は本物を見てください。

(カードをお持ちでない方はこちらからご覧ください。カモワン・タロットスクール公式サイトのカード

カードを見ると、上の段と下の段に分かれていることがわかります。

上段には凛々しい騎士、下の段には馬らしき動物がいます。

まず馬の足元を見てください。

足はそれぞれ3本ずつです。

机や椅子のことを思い浮かべると3本でも立ちますが、脚の配置によっては倒れやすいだろうという想像がつきます。

左の馬の足を見ると、3本の内の2本だけで立っていますし、ましてや地面がデコボコしているようなので、なかなかの不安定さです。

次は騎士の足元・・・と言っても足は見えていませんので、騎士の胴体が見えている台座の面を見てみましょう。

騎士の台座は真っ平です。

そして騎士の周りの柱は安定するような4本柱になっています。

騎士は安定感をもっているようです。

安定した騎士が不安定なところのある馬を管理しているということが分かります。

伝統的に、馬を含めた全体を1人の人間として解釈し、騎士が「理知」、馬たちが「欲望や気概」などの情動を表わすとみることができます。

これから書くことは、挿絵の図では省略していて描かれていませんので、カモワンタロットの『戦車』のカードを見てください。

カモワン・タロットスクール公式サイトのカード

左側の馬の耳には中が黒くなった部分や小枝のような象徴が描かれています。

これは恐れや欲を引き起こすような影響が内側に入っていることを示しています。

厳しい状況で、利己的な判断に基づいて恐れや欲に突き動かされる心境になる未熟さとみることができます。

そこで「理知」である騎士は、馬と自分の間に仕切りをした上で馬のコントロールをしているのです。

恐れや欲に突き動かされそうなとき、「動揺している部分=情動」と「それを御する部分=理知」に自分を分けることから始めることができます。

意識的に動揺する部分をお腹から下にしずめるようにして、上の方に「管理することのできる自分」を確保します。

情動を無意識の中に押し込む「抑圧」ではなく、高所から意識して御していくのです。

馬が恐がるときには「どうどう」と制するように、自分の動揺する部分を分割して意識的に制します。

自分の中に仕切りをして困難な感情を御するよう心がけていくことが、困難な状況を乗り越えていく力を養うことにつながります。

では『戦車』の右側の馬を見てみましょう。

耳の外側には黒いものがついていますが、内側には入っていません。

「理知」によって自分を御すことを覚えていくと、恐れを引き起こす影響を外側で受け止め、自分は動揺せずに安定していられます。

右側の馬の上げたように見える足をよく見ると、つま先は地面についていることからもわかります。

外側には、自分にとって「いい影響になるもの」「恐れを引き起こしてエネルギーをスポイルする有害なもの」など様々あります。

「理知」を確保することを行って、不用なものに巻き込まれず、情動を運転する練習をしていきましょう。

そして騎士のように顔を上げて、凛々しく☆

ソフィア

 

☆アントレ タロット・ライフ☆

いつもご愛読ありがとうございます

カモワンタロットの真実

episode 5

もう4年前になりますが、2016年にアレハンドロ・ホドロフスキー著の「タロットの宇宙」が出版されました。
これはすでに2004年にフランス語版で出版された「LA VOIE DU TAROT」の日本語版です。

その後、英語版「THE WAY OF TAROT」が出版されましたが、日本語版がでるまでにずいぶん時間がかかりました。
(仏語版、英語版ともに、タイトルを和訳すると、「タロットの道」です)

期待していた人がたくさんいたのではないかと思いますが、この本には、リーディングの動的展開法であるカモワン・メソッドについては書かれていません。

以前にも書きましたが、あらためて書いておきます。
カモワンタロットは、カモワン版マルセイユ・タロット、もっと正確に言うとホドロフスキー・カモワン版マルセイユ・タロットと言います。

カモワンタロットは、フィリップ・カモワンとアレハンドロ・ホドロフスキーの二人によって、数多くの伝統的マルセイユ・タロットを研究・分析された結果、失われた図柄などの発見をしながら、非常に高い精度での復元が行われ、今から約20年前の1998年に発行されたものです。

ホドロフスキーは著名な映画監督であり、1970年の『エル・トポ 』は有名ミュージシャンたちに絶賛され、現在ではカルトムービーの金字塔のひとつとされています。
タロットに関しては「タロットの宇宙」の著作以前にも多くの本を出版しているタロット研究家です。

一方で、フィリップ・カモワンの名を知る人はタロット愛好家や収集家などのコアなタロット・ファン以外では日本にそう多くはいないでしょう。
ただし、フィリップ・カモワンはコンヴェル版で有名な天才彫り師二コラ・コンヴェルの子孫であり、秘伝を受け継ぐ正統な伝承者です。

(カモワン家は、18世紀から20世紀まで、タロット発行において世界屈指のマルセイユのカードメーカーでした。今はタロット博物館となったカモワン工房の建物がマルセイユ市内に遺されています。)

タロットに描かれた図柄の内容には驚くような秘伝が隠されており、代々受け継がれ、師から弟子へと伝授されてきています。
僕自身もフィリップ・カモワンからフランスでの講座と日本での講座で秘伝を教わりました。

直に教わったことのある僕から見て、フィリップ・カモワンという人は隠者のような感じです。
SNSのアカウントはありますが、ほぼ発信していません。
ホドロフスキーのようには活発にメディアに出ることはあまりしないようです。

あるとき、ホドロフスキーがフィリップ・カモワンに「本が出版されたら私が世界各地で宣伝してあげる」と言ったそうなのです。
それが実現していないのは、頼んでいないからなのではないかと僕は推測しています。

そういったこともあってか、ネット上では「カモワンタロットの中枢はホドロフスキーが考えた」という誤解が生じていますが、そうではありません。

カードの秘伝自体に恣意的に手を加えたりはせず、ホドロフスキーが所蔵していた数多くの古いマルセイユ版とフィリップ・カモワンが所蔵していた二コラ・コンヴェルの版木をもとに、忠実な復元作業を行い、欠落してしまっているが本来あったはずだと思われる象徴を元に戻し、四色刷り印刷機で失われていた色彩の秘伝を復元したものなのです。

ただ、二人のマルセイユタロットに対する解釈のアプローチにはかなりの相違があるようです。

ホドロフスキーはカモワンタロットを復元する以前にはポール・マルトー版の研究・実践者で、カバラにも相当詳しい人のようです。
一方、マルセイユ・タロットの秘儀の継承者であるフィリップ・カモワンはタロットの本来の形を復元・伝承することを使命とし、フィリップ・カモワンしか知りえないことを知っています。

これらの背景によって、ホドロフスキーのタロット解釈は長年のオリジナル研究が反映されています。
フィリップ・カモワンはマルセイユ・タロットの秘伝をカモワン・メソッドと名づけた動的展開法で活用する方法などを教授しています。
カードをどのように活用するかについては、お互いに独自性を尊重し合うという形になっているようです。

フィリップ・カモワンは2018年に長年の成果をついに書籍化しました。
(その話は、前に書いていますのでそちらをご覧ください。)

ホドロフスキーの「タロットの宇宙」はなかなか難解で、厚みもすごい本です。
タロット愛好者にはそれまでの解釈に深みを増すことにつながるかも知れません。
ただし、上記のように二人のスタンスには異なる部分があるので、カモワン・メソッド初心者には混乱する恐れがあるため、最初の内は読まない方がいいのではというのが僕の考えです。

フィリップ・カモワンの本はフランス語ですが、フルカラーなので、スクールで学んだ人には「ここにあのことが書いてある」と把握できるぐらい、体系的に書かれています。
それにしても英語版、日本語版の出版が待ち遠しいですね。

今年は、世界的にコロナの影響があり、フランスは何度もロックダウンをするなどの事態になっています。
フィリップ・カモワンも今年は講座をしていないようです。

そんな中、ホドロフスキーは、インスタ・ライブでカモワンタロットの公開セッションやセミナーをやっています。
これでカモワンタロットがより広まるといいのですが、インスタ・ライブはスペイン語なので残念ながら僕にはちんぷんかんぷんです。

でもインスタをやっている人は、ホドロフスキーをフォローすれば見ることができますよ。
スペイン語が分かる人が身近にいるといいですけど。

では。

過去から新しい自分へと☆ザリガニと月

こんにちは。アントレへ、ようこそ。

今回は、過去の自分から新しくなるための『月』のカードについてのお話です。

カードのおよそ下半分という広い面積を占めている水面に不思議な生き物がいます。

ザリガニと見られていますが、不思議なのは目や口に青い丸い物をつけていることです。

ヨーロッパのお葬式で、硬貨を死者の目などの上に置いたり、口に含ませたりする風習の「冥銭」のように見えます。

冥銭とは、冥界に行くために、冥界の川ステュクスの船頭であるカロンに払う船賃のことです。

ギリシャ神話の中では、愛の神クピドーの恋人であるプシュケは冥界を往復するために冥銭を2枚口に含みました。

そうすることによって、プシュケは冥界を訪れるだけではなく、冥界から地上へと戻ることもできました。

青い丸い物が冥銭であるならば、ザリガニは冥界との間など、どこかに行こうとしていると解釈できます。

死んだり再生したりなどの状態の変化を含む、移動・移行をしようとしている徴のようです。

そう判断するには、あまりにもザリガニについて知らなすぎるので、ザリガニの生態について調べてみました。

すると、このような丸いものがザリガニにあることが分かりました。

脱皮する前のザリガニは、甲皮を柔らかくしてスムーズに脱皮するために、全身のカルシウムを胃で固形化して胃石というものを作るらしいです。

ザリガニの胃は目の後の辺りにあるそうです。

脱皮を終えたばかりの甲皮はとても柔らかく、外敵に襲われたらひとたまりもありません。

ですから、脱皮を終えたザリガニは胃石を溶かして速やかに甲皮にカルシウムを行きわたらせます。

つまり胃石というものは脱皮前後の限られた期間にだけあるものなのです。

またザリガニは、平衡感覚のために触覚の間に砂粒を入れて、耳石として使うことをするようです。

脱皮をすると甲皮ごと、砂粒も一緒になくなってしまうので、脱皮を終えたザリガニは砂粒をまた触覚の間に取り入れます。

そのように見ると、『月』に描かれているのは脱皮に臨んでいるザリガニなのかも知れません。

古い甲皮との間にすき間ができることによって現われる色の変化は脱皮が間近に迫った兆候のひとつでもあります。

また脱皮によって、赤いザリガニがオレンジ色に変わったり、黒いザリガニが青いザリガニに変わってしまうこともあるそうです。

『月』に描かれたザリガニも甲皮が2色で描かれていて、それらの色の変化と解釈することもできます。

色が変わること・カラーが変わることは、個性が変わることの象徴とみることができます。

今までわが身を守っていた古い個性である甲皮の部分は死を迎え、別の新しい個性である柔らかい甲皮の部分をわが身として再生していくザリガニ。

冥銭を置いた場所である目や触覚の間の辺りに注目しましょう。

目の脱皮は「物事の見方」の変化、口の脱皮は「外的言葉、内的言葉=思考」の変化、耳石の変化は「平衡感覚=何に傾くか・傾向をもつか」の変化であると解釈することができます。

そのことを踏まえて、カードの全景を見ると、異なる色の2つの価値観のぶつかり合いの中で、ザリガニは脱皮していることが分かります。

そのザリガニの様子を上の方から照らし出している月も、満ち欠けという死と再生のメカニズムを繰り返しています。

『月』のザリガニたちのように、古い自分から新しい自分へと移行する助けとなるワークを次のブログでご紹介します。

ソフィア