toggle
2020-07-20

過去から新しい自分へと☆ザリガニと月

こんにちは。アントレへ、ようこそ。

今回は、過去の自分から新しくなるための『月』のカードについてのお話です。

カードのおよそ下半分という広い面積を占めている水面に不思議な生き物がいます。

ザリガニと見られていますが、不思議なのは目や口に青い丸い物をつけていることです。

ヨーロッパのお葬式で、硬貨を死者の目などの上に置いたり、口に含ませたりする風習の「冥銭」のように見えます。

冥銭とは、冥界に行くために、冥界の川ステュクスの船頭であるカロンに払う船賃のことです。

ギリシャ神話の中では、愛の神クピドーの恋人であるプシュケは冥界を往復するために冥銭を2枚口に含みました。

そうすることによって、プシュケは冥界を訪れるだけではなく、冥界から地上へと戻ることもできました。

青い丸い物が冥銭であるならば、ザリガニは冥界との間など、どこかに行こうとしていると解釈できます。

死んだり再生したりなどの状態の変化を含む、移動・移行をしようとしている徴のようです。

そう判断するには、あまりにもザリガニについて知らなすぎるので、ザリガニの生態について調べてみました。

すると、このような丸いものがザリガニにあることが分かりました。

脱皮する前のザリガニは、甲皮を柔らかくしてスムーズに脱皮するために、全身のカルシウムを胃で固形化して胃石というものを作るらしいです。

ザリガニの胃は目の後の辺りにあるそうです。

脱皮を終えたばかりの甲皮はとても柔らかく、外敵に襲われたらひとたまりもありません。

ですから、脱皮を終えたザリガニは胃石を溶かして速やかに甲皮にカルシウムを行きわたらせます。

つまり胃石というものは脱皮前後の限られた期間にだけあるものなのです。

またザリガニは、平衡感覚のために触覚の間に砂粒を入れて、耳石として使うことをするようです。

脱皮をすると甲皮ごと、砂粒も一緒になくなってしまうので、脱皮を終えたザリガニは砂粒をまた触覚の間に取り入れます。

そのように見ると、『月』に描かれているのは脱皮に臨んでいるザリガニなのかも知れません。

古い甲皮との間にすき間ができることによって現われる色の変化は脱皮が間近に迫った兆候のひとつでもあります。

また脱皮によって、赤いザリガニがオレンジ色に変わったり、黒いザリガニが青いザリガニに変わってしまうこともあるそうです。

『月』に描かれたザリガニも甲皮が2色で描かれていて、それらの色の変化と解釈することもできます。

色が変わること・カラーが変わることは、個性が変わることの象徴とみることができます。

今までわが身を守っていた古い個性である甲皮の部分は死を迎え、別の新しい個性である柔らかい甲皮の部分をわが身として再生していくザリガニ。

冥銭を置いた場所である目や触覚の間の辺りに注目しましょう。

目の脱皮は「物事の見方」の変化、口の脱皮は「外的言葉、内的言葉=思考」の変化、耳石の変化は「平衡感覚=何に傾くか・傾向をもつか」の変化であると解釈することができます。

そのことを踏まえて、カードの全景を見ると、異なる色の2つの価値観のぶつかり合いの中で、ザリガニは脱皮していることが分かります。

そのザリガニの様子を上の方から照らし出している月も、満ち欠けという死と再生のメカニズムを繰り返しています。

『月』のザリガニたちのように、古い自分から新しい自分へと移行する助けとなるワークを次のブログでご紹介します。

ソフィア

関連記事