太陽の戦車とパエトン☆『戦車』

こんにちは、アントレへようこそ(^-^)

タロットには世界の民話や神話の象徴が数多く描き込まれています。

『戦車』の話をする上で、触れておきたくなる神話があります。

それはギリシア神話の太陽神の「太陽の戦車」にまつわるお話です。

太陽神はアポロンともヘリオスともいわれますが、ここではアポロンということにしておきましょう。

☆ ☆ ☆

太陽神アポロンはオリュンポス12神の一柱であり、最高神ゼウスの息子です。

アポロンにはパエトンという息子がいました。

パエトンは自分の父親が太陽神であることが自慢なのですが、それを友達に信じてもらうことができず、悔しがっていました。

お母さんのクリュメネに対し、パエトンは父親が太陽神である証拠を欲しがります。

クリュメネは太陽神が父親であることを確言し、それでも足りないなら太陽の神殿に行きなさいと勧めました。

急いで太陽の神殿に向かったパエトンはそこで歓待されます。

太陽神はパエトンが息子であることを認め、その恩恵を与えることを申し出ました。

「太陽の戦車で天空を翔ける姿を見せつけたら友達はぐうの音も出ないだろう」とパエトンは思い付きます。

そして太陽の戦車を1日貸してくれるように父親に頼みます。

アポロンはそれに対して太陽の戦車を運転することの難しさ・危なさを伝えたり、息子の気を他のことに逸らそうとしたりして、貸すことを渋ります。

しかしパエトンが恩恵の約束を盾にして譲らないので、太陽の戦車を貸すことにアポロンは遂に同意しました。

借りことはできても、始めて乗る太陽の戦車です。

太陽神の光明によってコントロールが可能な天馬をつけた馬車です。

そんな太陽の戦車を運転することは未熟なパエトンにとって難しすぎました。

天馬たちは御者が軽すぎることに気づき、暴走を始めます。

パニックに陥ったパエトンは天馬を制御することができず、太陽の戦車はルートを大きく外れていきました。

太陽の戦車の火で大地は焼かれ、海は干上がり、動物たちは焼け死んでしまっています。

神々に助けを求められ、その状況を収拾しようとするゼウスの雷霆によって、遂にパエトンは撃ち落されてしまいました。

クリュメネはパエトンの遺体を探し、埋葬された墓に辿り着きました。

その墓石には

「太陽神の戦車に乗ったパエトンがここに眠る。彼はそれを乗りこなすことはできなかったが、すばらしいことに果敢に挑戦した」

と書かれていました。

パエトンの姉妹である太陽神の娘たちもパエトンの死を悲しんで樹に姿を変え、その涙は琥珀に変わりました。

パエトンの死について復讐せずにはいられなかったアポロンは天馬たちを打ちのめしました。

太陽の戦車に乗る役割を永久に放棄したくなったアポロンですが、ゼウスや他の神々に説得されて踏みとどまったそうです。

☆ ☆ ☆

これが太陽の戦車とパエトンの神話です。

この神話を読んでから『戦車』のカードをじっくり観察するといろいろ面白いものが見えてきます。

その話は次回に続きます。

ソフィア

過去から新しい自分へと☆ザリガニと月

こんにちは。アントレへ、ようこそ。

今回は、過去の自分から新しくなるための『月』のカードについてのお話です。

カードのおよそ下半分という広い面積を占めている水面に不思議な生き物がいます。

ザリガニと見られていますが、不思議なのは目や口に青い丸い物をつけていることです。

ヨーロッパのお葬式で、硬貨を死者の目などの上に置いたり、口に含ませたりする風習の「冥銭」のように見えます。

冥銭とは、冥界に行くために、冥界の川ステュクスの船頭であるカロンに払う船賃のことです。

ギリシャ神話の中では、愛の神クピドーの恋人であるプシュケは冥界を往復するために冥銭を2枚口に含みました。

そうすることによって、プシュケは冥界を訪れるだけではなく、冥界から地上へと戻ることもできました。

青い丸い物が冥銭であるならば、ザリガニは冥界との間など、どこかに行こうとしていると解釈できます。

死んだり再生したりなどの状態の変化を含む、移動・移行をしようとしている徴のようです。

そう判断するには、あまりにもザリガニについて知らなすぎるので、ザリガニの生態について調べてみました。

すると、このような丸いものがザリガニにあることが分かりました。

脱皮する前のザリガニは、甲皮を柔らかくしてスムーズに脱皮するために、全身のカルシウムを胃で固形化して胃石というものを作るらしいです。

ザリガニの胃は目の後の辺りにあるそうです。

脱皮を終えたばかりの甲皮はとても柔らかく、外敵に襲われたらひとたまりもありません。

ですから、脱皮を終えたザリガニは胃石を溶かして速やかに甲皮にカルシウムを行きわたらせます。

つまり胃石というものは脱皮前後の限られた期間にだけあるものなのです。

またザリガニは、平衡感覚のために触覚の間に砂粒を入れて、耳石として使うことをするようです。

脱皮をすると甲皮ごと、砂粒も一緒になくなってしまうので、脱皮を終えたザリガニは砂粒をまた触覚の間に取り入れます。

そのように見ると、『月』に描かれているのは脱皮に臨んでいるザリガニなのかも知れません。

古い甲皮との間にすき間ができることによって現われる色の変化は脱皮が間近に迫った兆候のひとつでもあります。

また脱皮によって、赤いザリガニがオレンジ色に変わったり、黒いザリガニが青いザリガニに変わってしまうこともあるそうです。

『月』に描かれたザリガニも甲皮が2色で描かれていて、それらの色の変化と解釈することもできます。

色が変わること・カラーが変わることは、個性が変わることの象徴とみることができます。

今までわが身を守っていた古い個性である甲皮の部分は死を迎え、別の新しい個性である柔らかい甲皮の部分をわが身として再生していくザリガニ。

冥銭を置いた場所である目や触覚の間の辺りに注目しましょう。

目の脱皮は「物事の見方」の変化、口の脱皮は「外的言葉、内的言葉=思考」の変化、耳石の変化は「平衡感覚=何に傾くか・傾向をもつか」の変化であると解釈することができます。

そのことを踏まえて、カードの全景を見ると、異なる色の2つの価値観のぶつかり合いの中で、ザリガニは脱皮していることが分かります。

そのザリガニの様子を上の方から照らし出している月も、満ち欠けという死と再生のメカニズムを繰り返しています。

『月』のザリガニたちのように、古い自分から新しい自分へと移行する助けとなるワークを次のブログでご紹介します。

ソフィア

今できる☆自分を受け入れて許すこと

こんにちは。アントレにようこそ。

前回のブログでも地球が大転換の岐路に来ているらしく、その転換期に一致する流れがタロットにも描かれているようだということを書きました。

混乱の『悪魔』を通り抜けて『神の家』に入っていくところを書きましたので、今回は『神の家』から歩みを一歩進めて『星』のカードの領域に入って行きます。

『星』には人物がひとり描かれています。

水辺にひざまずいた人が水瓶の水を注いでいます。

その水辺は、川とも泉とも言われます。

川として想定されるものはいくつもありますが、今回はギリシャ神話の川「レーテー」として紹介します。

「レーテー」は冥界の川「ステュクス」の支流であり、その川の水には忘却の作用があるとされています。

冥界に出入りする人は、今までいた領域の記憶を持ち出さないために、「レーテー」の水を飲むのです。

「忘却」にはいい側面があります。

それまでのことを引きずることなく、新たな気持ちでものごとに望むことを可能にするという面です。

いざこざがあった人たちがやり直そうとするとき「これまでのことは忘れよう。水に流そう」と言いますが、『星』の人物がやっていることは「水に流すこと」なのです。

「~でなければならない」と自分を縛り付けていた思い込みや罪悪感など、本来の自分ではない「心の垢」が落ち、感情が解放されると、本当はありのままでよかったのだと許せる気持ちになります。

この裸の人物は低い姿勢になっています。

裸の低い姿勢は、余計な装飾・粉飾をとり除き、格好つけも、強がりもなく、素の自分を見つめ、ありのままの自分を受け入れていることを表わしているのです。

「このままでいい」と分かっているので、素直に謙虚な姿勢でいられるようです。

『星』の人物のお腹を見ると、少し膨らんでいるのが分かります。

本来の部分である「神性」が自分に宿っていることが『星』の人物には分かり始めているのです。

☆ ☆ ☆

この『星』のカードが表わしていることに習って、自分を許し、みそぎを行うお勧めな方法を紹介します。

心の中の不自由さ・不調を感じていて、やろうと直観した方はやるといいかも。

「自分を受け入れなかった出来事」に関する感情を書き出す<みそぎノートのマジカルワーク>です。(詳細はこちらへ)

それまで自分にどのような部分があったとしても、ワークを終えたら、「レーテー」の水を飲んで忘れたかのように、全てを許して水に流すと心に決めます。

わたしはいくつかの「情けない自分」を受け入れました。

ほとんど解放していなかった出来事もあったので、涙も鼻水もいっぱい流れ、しばらく立ち上がれずにボーっとなっていました。

わたしの解放はまだありますが、行う毎にライトになるようです。

ソフィア