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2022-05-27

太陽の戦車とパエトン☆『戦車』

こんにちは、アントレへようこそ(^-^)

タロットには世界の民話や神話の象徴が数多く描き込まれています。

『戦車』の話をする上で、触れておきたくなる神話があります。

それはギリシア神話の太陽神の「太陽の戦車」にまつわるお話です。

太陽神はアポロンともヘリオスともいわれますが、ここではアポロンということにしておきましょう。

☆ ☆ ☆

太陽神アポロンはオリュンポス12神の一柱であり、最高神ゼウスの息子です。

アポロンにはパエトンという息子がいました。

パエトンは自分の父親が太陽神であることが自慢なのですが、それを友達に信じてもらうことができず、悔しがっていました。

お母さんのクリュメネに対し、パエトンは父親が太陽神である証拠を欲しがります。

クリュメネは太陽神が父親であることを確言し、それでも足りないなら太陽の神殿に行きなさいと勧めました。

急いで太陽の神殿に向かったパエトンはそこで歓待されます。

太陽神はパエトンが息子であることを認め、その恩恵を与えることを申し出ました。

「太陽の戦車で天空を翔ける姿を見せつけたら友達はぐうの音も出ないだろう」とパエトンは思い付きます。

そして太陽の戦車を1日貸してくれるように父親に頼みます。

アポロンはそれに対して太陽の戦車を運転することの難しさ・危なさを伝えたり、息子の気を他のことに逸らそうとしたりして、貸すことを渋ります。

しかしパエトンが恩恵の約束を盾にして譲らないので、太陽の戦車を貸すことにアポロンは遂に同意しました。

借りことはできても、始めて乗る太陽の戦車です。

太陽神の光明によってコントロールが可能な天馬をつけた馬車です。

そんな太陽の戦車を運転することは未熟なパエトンにとって難しすぎました。

天馬たちは御者が軽すぎることに気づき、暴走を始めます。

パニックに陥ったパエトンは天馬を制御することができず、太陽の戦車はルートを大きく外れていきました。

太陽の戦車の火で大地は焼かれ、海は干上がり、動物たちは焼け死んでしまっています。

神々に助けを求められ、その状況を収拾しようとするゼウスの雷霆によって、遂にパエトンは撃ち落されてしまいました。

クリュメネはパエトンの遺体を探し、埋葬された墓に辿り着きました。

その墓石には

「太陽神の戦車に乗ったパエトンがここに眠る。彼はそれを乗りこなすことはできなかったが、すばらしいことに果敢に挑戦した」

と書かれていました。

パエトンの姉妹である太陽神の娘たちもパエトンの死を悲しんで樹に姿を変え、その涙は琥珀に変わりました。

パエトンの死について復讐せずにはいられなかったアポロンは天馬たちを打ちのめしました。

太陽の戦車に乗る役割を永久に放棄したくなったアポロンですが、ゼウスや他の神々に説得されて踏みとどまったそうです。

☆ ☆ ☆

これが太陽の戦車とパエトンの神話です。

この神話を読んでから『戦車』のカードをじっくり観察するといろいろ面白いものが見えてきます。

その話は次回に続きます。

ソフィア

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