こんにちは。アントレへ、ようこそ。
まだまだ春めくにはほど遠い寒さのようです。
12月にはインフルの波を何とか凌いだのですが、わたしソフィアは1月の波には捕まってしまいました(^₋^ゞ
まだまだ寒いです。
心身ともに気を付けていきましょう。
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さて、今回はさそり座とオリオン座の神話をタロットの象徴と通してみていきます。
前回のブログにオリオンを中心としたお話を載せていますので、まだご覧になっていない方はそちらからどうぞ。
『さそり座はオリオンを追う☆12星座の神話』
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『世界』のわし・さそり座
マルセイユ・タロットの『世界』のカードには、伝統的に、黄道十二宮の固定宮が四聖獣として描かれています。

水の固定宮であるさそり座がワシの象徴に置き換わっているのは、前回のブログに記載した通りです。
それでは「わし・さそり座」とその反対側にある「オリオン座」のお話をタロットの象徴で照らしてみていきましょう。
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「地」と「火」の傾向
オリオンの出自は、「雄牛の皮を地面に埋める」というような神の恩恵による魔法的手段に基づいていますが、
「牛」は、四大元素の内の「地」の象徴の動物で、「地中に埋める」という手段も「地」の特徴を帯びています。
狩人であるオリオンは「棍棒」を振り上げた姿で星図に描かれていますが、
「棍棒」は「火」の象徴です。

「オリオン座」(版画)ヨハン・バイエルの『ウラノメトリア』 (アメリカ海軍天文台図書館)
地上の動物を狩ることを目的として、棍棒で力を振るうオリオンは「地」と「火」の傾向が強い人物です。
『手品師』は、「棍棒」と同じような「バトン」を片手に持ち、もう一方の手には「コイン」を手に持っています。
「玉」とも呼ばれる「コイン」は「地」の象徴です。

土色の地面や土色のテーブルもある『手品師』は「地」と「火」の特徴があり、オリオンと似ています。
オリオンも『手品師』も物質現実的で、パワフルです。
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オリオンと『手品師』の「水」
オリオンはオイノピオンの娘メロペーを欲しがりました。
命の危険さえある難題を出すくらい、オイノピオン王とメロペーは全く縁談に前向きではありません。
「人や家畜を襲うすべての野獣のキオス島からの一掃」という難題の「野獣」にオリオン自身が入っていたのかも知れません。
実際にメロペーを襲った野獣だけは討伐し損ねたことになります。
相手の気持ちを全く汲み取る心のないオリオンは獣と言えるのかも知れません。
「感情」は「水」で象徴されますが、
『手品師』を見ると、テーブルの上には「カップ(杯)」が2つあります。

片方のカップには「水」のようなものが見えますが、もうひとつのカップには蓋がされています。
他者の気持ちを汲み取らないオリオンのように、『手品師』も相手の感情を汲んではいないようです。
『手品師』も自分の気持ちにだけ関心がある状態のようです。
ここまで見てみると、物語のこの段階のオリオンの人物像に最も近いのは『手品師』だと見当がつきます。
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物質を見る目を失う
メロペーに乱暴をはたらいた結果、オリオンはオイノピオンに泥酔させられ、両眼を失明させられます。
オイノピオンの父神である「酒神ディオニュソス」が出てくることで「酩酊」「既存の認識の破壊」を思わせます。
この段階で、オリオンは物質次元にフォーカスする「目」を失いました。
メロペーの心を見ずに肉体のだけの物として判断していたような今までの「見方」をなくしたようです。
『手品師』の次の『女法王』では、天幕の端が逆さにした松明のような形になっています。

逆さの松明は「死」を意味する象徴です。
外の物質現実に意識を向ける『手品師』から一転して、天幕で周囲を遮蔽した『女法王』は黙想する様子のカードです。
古い認識の死を体験しながら、見動きできず、じっとしているオリオンは黙想のような状態になっていたかも知れません。
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導く天の目
オリオンは盲目を癒すために東へ誘う神託を聞き、単眼のキュクロプスのハンマーの音を頼りに東へと赴きました。
東は「太陽の昇る方角」であり、ものごとを照らすことのできる太陽の明るさは知性を象徴します。
キュクロプスという名称は、ギリシア語で「キュクロ(輪・円)」と「オプス(目)」から来ていて、「丸い目」と翻訳することができ、それは天の目である太陽だとされています。
鍛冶神とされるキュクロプスは元々、天空神ウラノスの息子たちであり、天空神の系譜です。
盲目の中で、天空神のはたらきかける音を聞きながら東を目指すオリオンは、これまでのオリオンとは全く異なります。

「太陽を目指し走るオーリーオーン」(ニコラ・プッサン:メトロポリタン美術館所蔵)
『女法王』の冠の天辺には、キュクロプスの導きを思わせる黄金色の小さい太陽のような円が描かれています。

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エオス・ヘリオス兄妹
オケアノスにたどり着いたオリオンの姿を見て、明け方を司る暁の女神エオスが恋におちたとされています。
エオスの司る「夜明け」は、精神の「目覚め」に通じます。
象徴的に描かれるオリオン座の7つの星のように、7(Ⅶ)という数をもつ『戦車』は大きな目をもつ美青年として描かれています。

星空の上に朝焼けのような朱色のある『戦車』の天幕は、エオスからもたらされた恩恵を表わしているかのようです。
さらにエオスに頼まれた太陽神ヘリオスが陽光で目を癒しました。
ヘリオス・エオス兄妹と親しむオリオンは、オルテュギア島で女神アルテミスに出会いました。
アルテミスに円盤投げを挑んだことによって大サソリが放たれたとも、アルテミスと親しくなるのを快く思わないアポロンによって大サソリが放たれたとも言われています。
毒針をもつ大サソリはオリオンに死をもたらします。
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太陽の繰り返し
この神話の中では太陽を思わせる象徴が何度も出てきます。
最初はキュクロプスとして天の目である太陽が出てきましたが、次はヘリオスとして太陽が登場し、遂にはアポロンとして登場しています。
オリオンは天空神の鎚の音で導かれ、太陽神ヘリオスに目を癒され、太陽神アポロンの放った大サソリに殺されます。
光明の洗礼を何度も受けているようです。
「巨大な体格」で象徴された「オリオンの荒々しい自我」が陽光の中で段々と小さくなり、死を迎えます。
『太陽』には、これまでの他のカードと異なり、小さい人物が描かれています。

夜明けから明るさを増す朝日の中に、溶け込んで見えなくなっていく「オリオン座」の姿のようです。
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大さそりとワシ
『世界』のカードに戻ってみると、この中心にいるのはイエス・キリストではありませんが、キリスト教のタンパンにそっくりです。
タンパンの四聖獣は、4つの共観福音書に当てはめられていて、天使はマタイ福音書、牛はルカ福音書、獅子はマルコ福音書、ワシはヨハネ福音書に当てはめられています。
他の福音書と比べて、ヨハネの福音書は天の神秘がその特徴で、ワシは天に昇ったイエスを象徴するともされているようです。
ワシの象徴やオリオンを刺したサソリの話から推測すると、『世界』の「わし・さそり座」は光の神秘のよる「昇天のサポーター」と言えるのかも知れません。
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ポンペイのオリオンの家のモザイク画では、オリオンの背中には蝶の羽根がついています。
蝶は生命や魂の象徴であるアニマを表わします。

「ゼウスの意志によるオリオンの星座への変容」(2018年にポンペイのオリオンの家で発見されたモザイク画:ソフィー・ヘイ博士による撮影)
このモザイク画にも、オリオンが「自我の死」を祝す「逆さの松明」が天使のような存在によって掲げられています。
ソフィア
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