『吊るし』のフィールドをもう少し探検してみよう
こんにちは。タロットの世界へようこそ。
前回記事の『吊るし』ですが、興味深いシンボルを見比べたりしながらもう少し探検してみましょう。
『吊るし』は大きな人物が逆さまで描かれている唯一のカードなので、タロットに触れると気にかかるカードです。
「なんで逆さ?」
「他のカードとはどう違う?」
クエスチョンマークがたくさん出てきます。
ここで『悪魔』のカードと見比べていきましょうか。
『吊るし』にも『悪魔』にも結わえられた人が描かれています。
さらにその結わえられた人たちは手を後ろに回しているところが共通しています。
似ていますよね。
でも似ていながらも異なっているようです。
『悪魔』の下にいる人たちはロープが首に結わえられています。
頭が(つまり思考が)悪魔によって捕らえられているように見えます。
一方で『吊るし』の人の頭は自由です。
『吊るし』の人は足のところにロープが掛かっています。
ではこの人は捕まって吊るされて自由が制限されているのでしょうか?
足元をクローズアップしてみましょう。
この人のかかとはロープから出ていて、足をかけているだけであることが分かります。
ロープから抜こうと思えば抜ける状態にあるようです。
今はただ「一時休止」のために足をかけて止まっているところなのです。
では『悪魔』の下の人たちの足を見てください。
まるで木の根のようになっています。
ロープで結わえられていなくても自由に動けそうには見えません。
こう見ていくと後ろに隠した手も意味が異なってくる感じがします。
『吊るし』は手を出さないと決めていたり、まだ出す時期ではなく準備している最中なので敢えて隠しているのかも知れません。
『悪魔』の下の人たちが手を後ろに回しているのは、悪魔の考えで支配されている場所だから、親分の気に入らないことを隠しているのです。
そこに留まっているのは、悪魔の子分でいる旨味か何かを享受しているからなのでしょう。
ただ、旨味はあっても、不自由で不満足を感じているようです。
自分の考えで、自分のプランで留まるか。
他者の考えの下に留め置かれるか。
これはこの2枚のカードに存在する重要な対比です。
自分自身の人生を生きるためには、他者からの押し着せの考えではなく、自分自身の考えをもつこと。
そのために『吊るし』は今、じっくりと熟考しています。
休眠期のブドウのように、自分の生命力を茂らせていくために、少し止まって、自分の内側を見つめている――そんなタイミングが人生には必要です。
※ 解説はカードの元型的な基本、正立で問題のないときを前提としたものです。リーディングなどの際に出てくる逆向きのカードは解釈内容が異なってきます。
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