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2024-12-23

水瓶で癒す『節制』☆星の神話とタロット

こんにちは。アントレへ、ようこそ。

クリスマスですね。

素敵な贈り物を自分にもプレゼントしてはいかがでしょうか。

わたしソフィアは少々お高めのリップバーム等々、ちょっと奮発しました(^-^⁼

今回はみずがめ座の神話をタロットの象徴を通してみていきます。

前回のブログにギリシア神話の美少年ガニュメデスのお話を載せています。

まだ読まれていない方はそちらからどうぞ。

『ネクタルを注ぐガニュメデス☆12星座の神話』

☆ ☆ ☆

『世界』のみずがめ座

まず『世界』のカードでは、天使がみずがめ座として描かれています。

伝統的にマルセイユ・タロットの『世界』のカードには、黄道十二宮の固定宮の星座が四聖獣として描かれています。

その内の風の要素の固定宮がみずがめ座です。

では、みずがめ座のガニュメデスのお話をタロットの象徴と照らし合わせて見ていきましょう。

水瓶をもつ『節制』と『星』

水瓶という象徴についてタロットを眺めると、『節制』と『星』に水瓶そのものをもつ人が見当たります。

乳房が描かれている『星』は女性のようなので、ガニュメデスとは解釈しにくいですね。

『節制』は服を着ているので、体つきでは分かりませんが、顔つきをよく見るとハンサムな男性のようでもあり、ガニュメデスに見立てることができそうです。

(挿絵には詳細な象徴を描き込んでいません。お手元のカードか、カモワン・タロットスクール公式サイトのカード画像でお確かめください)

神々の献酌官の水瓶

ヘーベやガニュメデスの務める献酌官の役割は、神々にネクタルやアンブロシアなどを供することです。

それらの食物は、若返りや不死や傷の治癒をもたらします。

『節制』の数字の欄にはⅩIIII(14)という数が描かれています。

数で並べると、隣はⅩⅢ(13)で、そこには「死者」や「傷ついた人」がいます。

13

「死者」や「傷ついた人」に眼差しを向ける『節制』は、その状態を見抜いて、ネクタル等で癒しをもたらしています。

羊飼いのガニュメデス

「荒々しい内面や悪意のある内面をやさしそうな外見でカモフラージュ」している人を「ひつじの皮を被ったおおかみ」と表現したりしますが、

ガニュメデスは「羊飼い」であったとされています。

羊を「被る」のではなく、羊を「飼う」というのは、ガニュメデスが穏やかな内面性を養う人物であることの象徴です。

さらに、その背景となる場所は聖なるイダ山です。

イダ山は、女神キュベレーの崇拝の地でした。

女神キュベレーの息子であり夫である美青年アッティスは、キュベレーの霊感を受けて正気を失い、自らの手で去勢をしたとされています。

また、イダ山はヘルマプロディトスが育てられたところでもあります。

ヘルマプロディトスは、ヘルメスとアプロディーテの子どもで、両性具有の美少年とされます。

どうやら「美少年・美青年」とは、女性性と男性性がバランスした人物像を表わす言葉であり、

これらの神話における「去勢」とは、荒々しさを鎮め、穏やかな精神になることの象徴のようです。

天に去るガニュメデス

一般的に「ガニュメデスの誘拐」と題名をふられることがあるこの逸話ですが、

ガニュメデスを連れ去ったのが、暁の女神エオスであるという説には合点がいくところがあります。

エオスの司る「夜明け」は、精神の夜明けとしての「目覚め・覚醒・悟り」を象徴し得るからです。

アンフォラの「ガニュメデスに雄鶏を与えるゼウス、冠を被せる女神、ヘーベ」の冠を被せる女神の名は示されていません。

(ガニュメデスに雄鶏を与えるゼウス、冠を被せる女神、ヘーベ:黒絵式アンフォラ:紀元前510年頃:バイエルン州立博物館)

しかしガニュメデスに与えられているのが雄鶏であることを考え合わせると、冠を被せる女神が、夜明けを報せる雄鶏をアトリビュートとしてもつエオスである可能性があります。

「天に連れ去られた」とされるガニュメデスは、女性性と男性性の対立的概念を統合して覚醒し、「高次元界に昇った」「高次の意識に到達した」ということなのかも知れません。

『節制』は見抜く

一方、ほとんどのカードが黒い瞳で描かれるマルセイユ・タロットの中で、『節制』は唯一、瞳が黄色く描かれたカードです。

「見抜く」ことのできる「明晰さ」を表している瞳のようです。

『節制』の見る『ⅩⅢ』の黒い土の中には、土に埋まった男女の苦しげな頭があります。

やさしい眼差しの『節制』は、土の中から恨み言をいう男女を見つめています。

男女の違い、立場の違いなどの肉体的観点の偏りから苦しみが生じていることを見抜き、その人の本質の美しさを見つめて苦しみを和らげ、相手を勇気づけています。

きっとガニュメデスの美しさは、肉体的なものだけではなく、陰と陽のバランスがとれた精神の強さ・美しさを表わすようなものだったのではないでしょうか。

みずがめ座は『世界』にもいますが、そこでは水瓶をもっていません。

それは『世界』の真ん中の人が他者から癒される必要のない素晴らしい状態にあり、むしろ周りの人に目を配っている人だからのようです。

神話とタロットを照らし合わせると、両方の理解が進みます。

神話もタロットも奥が深いですね(^-^)

ソフィア

カモワン・タロットのリーディングを学びたい方はスクール・ページへどうぞ。

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